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ご挨拶

第24回日本精神保健・予防学会学術集会
会長 辻野 尚久
(恩賜財団済生会横浜市東部病院 こころのケアセンター長・精神科部長)

 2020年11月28日(土曜日)・29日(日曜日)と2日間にわたり、神奈川県横浜市の横浜市開港記念会館にて第24回日本精神保健・予防学会学術集会を開催する運びとなりました。
 今回の大会テーマを『早期介入の港をより広く、より深く、そしてより近くに』といたしました。早期介入を提供する場を、会場が横浜市開港記念会館であることから、「港」に例えてみました。精神疾患に対する予防は、概念としての歴史は古いものの、長い間効果的に運用されることがなく、むしろ精神疾患の経過において悲観的な見解が大勢を占めていました。しかし、そこから近年目覚ましい研究成果とともに、早期介入の実践が世界的に急速に広まり、当初は「精神病(サイコーシス)」を対象として構築されてきたモデルが、今では対象が精神疾患全般となっています。そういった疾患の「広がり」や、それぞれの精神疾患の好発年齢に応じた幅広い年代層に対応していく必要があります。
 早期介入がサブクリニカル水準の症状も対象とし、そこから重症化を回避し、入院治療中心のサービスから地域中心型サービスに移行してきており、プライマリケア医をはじめとする他の診療科や学校、職域、行政などにおける精神保健に関わる職種との連携の「広がり」が求められております。そして、そこには単に「早く治療した方が良い」という感覚的な理論だけではなく、生物-心理-社会(bio-psycho-socio)モデルに基づいた科学的根拠と、さらには不適切な介入による弊害を回避するための倫理的(ethical)な適切性も含めた「深み」をもった、より専門的な介入方法が必要です。
 しかしながら、本邦ではまだ早期介入が十分に広まっているとは言い難い現状が存在するのも否定できません。遠くの特殊な医療機関に行かないと受けられないサービスではなく、医療機関だけでなく学校や職場、町のコミュニティーなどでも受けられるような「より近い」ものにしていくことが理想だと思われます。
 本学術集会が、本邦における早期介入の発展に寄与することはもちろん、今後の精神医療全体の方向性を議論し、将来に向かって「開港」していける場になることを願っております。
 多くの方々のご参加を心からお願い申し上げます。

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